ビールで使われるホップってどんなもの?

近年、ホップを売りにしたビールが商品として並ぶようになりましたね!ビールには欠かせない原料としておなじみのホップですが、具体的にどのようなものなのか分からないという方も多いと思います。

今回はホップとはいかなるものなのか、ビール造りにおける役割や種類についてもお伝えしていきたいと思います!!

ホップとは

ホップはアサ科のつる性植物で、和名は「西洋唐花草(セイヨウカラハナソウ)」と言います。ビール以外の用途で使われることはほとんどありません。

毎年実をつける多年生の植物で、たった1年で約8メートルほどの高さまで成長します。株によって雌雄が異なり、ビールに使われているのは雌株の方です。ホップ畑では雄株と受粉して形質が変わってしまわないように、雌株オンリーが栽培されています。

ホップの歴史

紀元前よりビールは造られていたとされていますが、ホップが使われるようになったのは紀元後。11~12世紀にはビールの材料としてホップが使われていたそうです。

ドイツのルプレヒトベルク修道院の院長さんが、レシピを記録に残してくれています。「Physica」という書物には、ホップからビールを造る方法が書かれています。またホップ無しでオーツ麦を用いてビールを造るレシピも書き記されています。

ドイツにて、ビール造りにホップの使用が大々的に認められるようになったのは1516年のとき。「大麦、ホップ、水のみをビールの原料とする」という法律(ビール純粋令)が、ドイツ南部のバイエルンで制定されました。
この法律によってバイエルンのビールとホップの存在がドイツ全土に広がっていきました。

ホップが一躍脚光を浴びたのは18世紀のとき。イギリスでは「エール」という名前でビールが定着していたのですが、「エール」は統治下にあったインドへも輸出されていました。

当時、輸出されたビールにはホップが大量に使われ、アルコール度数や麦汁の濃度を過剰なまでに仕上げた特別仕様となっていました。嫌がらせにも聞こえますが、腐敗を防ぐためにはホップの大量投入が必要だったのです。

その苦みときたら想像を絶するほど…と思われたのですが、赤道を2度またぎ、5か月もの期間を経て運ばれたことで刺激的な苦みはマイルドに。ドライで強炭酸なビールに仕上がっていたそうです。

この仕様はIPA(インディアン・ペール・エール)と呼ばれ、現在もビターなビールとして親しまれています。

ちなみに日本におけるホップ栽培の歴史が始まったのは1872年のとき。アメリカからの開拓使であったトーマス・アセンチルが、北海道にホップが自生しているのを発見したことがきっかけとなりました。

ホップ発見以降、北海道ではたくさんのビール醸造所が設立されるようになりました。現在は国産のみならず、ドイツ、チェコ、アメリカなどの国々から輸入されたホップを使ってビールが造られています。

ホップの主な役割

ホップには主に4つの役割があります。ビールにどのような効果をもたらすのかひとつひとつ見ていきましょう!

役割その1:苦味

ホップの毬花には「ルプリン」という黄色い球体が入っていて、ルプリンには苦味のもとになる「フムロン」という物質が含まれています。麦汁にホップを加える工程では、熱によってフムロンがイソフムロンへと変化します。これによりビールが苦味を持つようになるのです。

一般的にビールの苦み成分の約8割をイソフムロンが占めていると言われています。フムロンを多く含有する「ビタリングホップ」はビールの苦みを与えるのに長けています。

役割その1:香り

ビールの香りは、酵母が生み出す「エステル香」、ホップ由来の「ホップ香」、モルト由来の「モルト香」から構成されます。特に香り付けを得意とするホップは「アロマホップ」と呼ばれ、使われるホップの品種によって香りがかなり異なってきます。

柑橘を思わせる香りをシトラシー、花のような香りをフローラルなどと表現され、多種多様な香りが楽しめるのもホップならではの特徴となっています。

役割その1:泡持ち

ビールの泡は炭酸ガスを逃がさないためにも一役買っている存在です。泡の正体は苦味成分のイソフムロンで、大麦由来のタンパク質と結びつくことで泡ができます。

ホップがたくさん使われた苦いビールほど泡持ちが良いと言われています。

役割その2:殺菌効果

イギリス人がインドにビールを輸出する際に狙っていた効果がまさにコレ!ホップにはビールの腐敗を防ぐ効果があります。

雑菌の繁殖を抑えてくれるホップは、技術が発展する以前からビール造りに取り入れられていました。

ホップの種類

世界中にあるホップの種類は100種類以上あると言われています。大きくビタリングホップとアロマホップの2種類に分けられます。

ビタリングホップ

苦味を与えるのに長けたビタリングホップをご紹介します!

マグナム(Magnum)

ビタリングホップのなかでも代表的なドイツ原産の品種。澄んだ苦味を与えつつ、柑橘系のような香りとスパイシーな香りが微かに感じられます。
持ち前の安定感から、世界中のあらゆる地域で使われるようになりました。IPAやアメリカンエールによく使われています。

ノーザンブルワー(Northern Brewer)

イギリス原産の品種で、現在はドイツで盛んに栽培が行われています。アロマホップとしても使われることがある二刀流のホップです。

穏やかな香りと若干のスパイシーさを持ちます。イングリッシュエールやポーターなどによく用いられます。

アロマホップ

お次に、香り付けを得意とするアロマホップをいくつかご紹介したいと思います。

カスケード(Cascade)

アロマホップの代表格といえばこの品種!アメリカ原産のもっとも有名なホップで「アメリカンホップといえば華やかな香りを持つアロマホップ」という方程式を構築した張本人です。

フローラル、スパイシー、かつグレープフルーツのような風味を持つ、心地よい味わいのビールとなります。ペールエールやIPAなど、多くのビールに用いられています。

シトラ(Citra)

アメリカ原産の品種で、強いシトラス系のアロマを持っています。アロマホップとして使われていますが、ビタリングホップとして用いられることもあります。クラフトビールに使われることが多く、日本産のクラフトビールにも使われています。

パッションフルーツのようなトロピカルさと、メロンやベリー系の香りを持った複雑な味わいとなります。ペールエールやIPAによく使用されます。

モザイク(Mosaic)

2012年、アメリカにて誕生したニューカマー!奥深い香りと扱いやすさが受けて世界中で利用されています。トロピカルフルーツのようなほのかな甘さを持っていますが、ビタリングホップとしても使われることがあります。

多様なアロマとフレーバーが複雑に混ざり合った様から、「モザイク」の名がつけられました。

おわりに

今回はビールに使われるホップについてお伝えしました。
ビールの味わいを決定づける要因だけではなく、泡持ちや腐敗防止にも効果があるのは意外ではないでしょうか!

ホップについて知った後は、アロマホップとビタリングホップでどんな違いがあるのが飲み比べてみても良いですね!今までとは違う観点でビールを楽しめるかもしれませんよ♪

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