
なぜ形が違うの?ワインのボトルに隠された意味
みなさんはボトルの形に注目してワインを選んだことはありますか?
ブドウ品種や生産国は注目してるけど、ボトルの形は意識したことがない、という人がほとんどだと思います。実際にボトルを見ても、見分け方が分かりませんよね。
そこで今回は、ワインボトルの形状の違いや特徴、代表的なワインまで一挙紹介していきたいと思います。
目次
ワインボトルの歴史
ワインボトルの歴史は古く、紀元前15世紀頃のギリシャ・ローマ時代にまで遡ります。当時は「アンフォラ」と呼ばれる素焼きの甕(かめ)を用いてワインが各地へ届けられていました。
その後17世紀ごろにガラス瓶が登場し、品質を保った長期保存が可能になります。ガラスのワインボトルが世界に広まると、瓶熟成と呼ばれる新しいスタイルも確率されました。熟成時に発生する滓(おり)を溜めるために、瓶底にくぼみを持たせたのです。
またワインによって滓(おり)の量が違うため、ブドウ品種や地域によってボトルの形が変えられていきました。ボルドーワインは滓(おり)の量が多いため「いかり型」のワインボトル、ブルゴーニュのワインは滓(おり)が少ないため「なで肩」になっているようです。
これもブドウの品種や熟成期間によっても変わってきますので、一概には言えません。
産地によってボトルの形が異なる
ワインボトルの歴史にもあるように、産地や品種によってボトルの形が異なります。
そこで代表的なボトルを紹介しながら特徴や産地を紹介していきます。
ブルゴーニュ型
「なで肩」の形をしており、フランスのブルゴーニュ地方やローヌ地方で生産されるワインに多いワインボトルです。
ブルゴーニュワインが「なで肩」なのは貯蔵環境が関係しています。ブルゴーニュ地方は海抜が高く、保存環境の良い地下貯蔵庫を作れました。ボルドーよりも安定した貯蔵ができ、食品の保存にも使われるようになります。
しかし食品で貯蔵庫が圧迫され、ワインを保存できる場所が狭くなったのです。そこで考えられたのが、互い違いにして収納できる「なで肩」のワインボトルです。ブルゴーニュ型のワインボトルは「収納力」を重視した形状だったのです。
また先ほどお話しした、滓(おり)が少なさも、なで肩になった理由のひとつだと言われています。
ボルドー型
ボルドー型は「いかり肩」をしており、フランスのボルドー地方で生まれたボトル形状です。現在では世界中で最も使われるボトルタイプになっています。
そしてボルドーワインが「いかり肩」なのは滓(おり)が大きく関係しています。ボルドーワインはタンニンが豊富なので滓(おり)が発生しやすいです。「いかり肩」にすることにより、ワインを注ぐときに肩の部分で滓(おり)がせき止められます。
何気なく飲んでいるワインですが、美味しく飲めるように工夫がされているんですね。
ライン・モーゼル型
いわゆる「なで肩」タイプですが、ほとんど肩がなくスリムなボトルが特徴です。茶色のボトルはドイツのライン地方、薄緑色のボトルはモーゼル地方が有名な産地です。
ラインとはライン河からつけられた名前です。またドイツワインはフランスの格付けとは異なりますので注意してください。
アルザス型
もっとのスリムなボトルと呼ばれているのがアルザス型です。フランスのアルザス地方で使われているボトルで、ライン・モーゼル型よりもさらに細い型です。フランスの北部に位置しているため、大半が辛口の白ワインになります。
シャンパーニュ型
言わずと知れたシャンパン専用のボトルです。高いガス圧に耐えられるように分厚いガラスで作られています。またシャンパンだけではなく、世界中のスパークリングワインでも活用されています。
クラヴラン型
「いかり肩」のワインボトルで、主にジュラ地方のヴァン・ジョーヌに用いられています。少し黄色がかったボトル色で、容量は620mlと少なめ。ヴァン・ジョーヌは熟成中に蒸発分を補填してはならず、結果的に750mlが620mlに減るため、この容量のボトルになったそうです。
ボックスボイテル型
丸みを帯びた形をしたドイツのフランケン地方特有のボトルです。「山羊の陰嚢(いんのう)」という意味もあります。起源は18世紀で、粗悪なワインと区別をつけるために採用されました。現在でもフランケン地方でのみ許された形状になります。ワインはドイツでは珍しい辛口で、「石のワイン」とも呼ばれています。
プロヴァンス型
「なで肩」でくびれた形状をし、フランスのプロヴァンス地方で用いられています。ブドウの栽培はフランス国内で一番古い歴史を持ち、良質なブドウが収穫されることで有名です。
地中海性気候でブドウが大量に生産できるため、高級ワインというよりはデイリーワインの生産がメインになっています。
まとめ
今回はワインボトルの違いや特徴について解説しました。ワインボトルにもそれぞれ特徴があり、形状によって産地や味を予測できますね。
これからはボトルにも注目しながらワイン選びをしてみてくださいね。