
意外と重要!?酒器が持つ役割と特徴
皆さんはお酒を飲むとき、お酒の温度やコンディションばかりを気にしていませんか?
実はお酒を注ぐ酒器でも味の感じ方が変わってきます。異なる形、異なる素材、異なる容量の酒器を使うことで、いつものお酒がまるで違うお酒のように楽しめてしまうのです!不思議ですよね!!
今回はそんな絶大な力を秘める酒器について解説!それぞれ、どのような歴史と特徴を持つのかまとめていきたいと思います。
目次
酒器とは一体なに?
酒器とはお酒を飲むために使われる器のこと。ワイングラスやウイスキーの持ち運びに便利なスキットルも酒器に含まれます。
酒器を使うことでお酒を冷たい状態でキープできたり、飲みたい分量だけをお燗にしたりと、小回りを利かせた味わい方が可能となります。
また地域に根付いた飲み方をするところには、その地域発祥の酒器も存在します。地元の酒器で地酒を飲むことで、現地の人とのコミュニケーションが円滑になるのはよく聞く話。
言ってしまえば酒器は、味わう以外の恩恵ももたらしてくれるのです。脇役の域こそ出ないものの、私たちの人生に少なからず影響を与える役者と言えそうですね。
日本酒が美味しくなる酒器5選!
主に日本酒に使われる酒器をご紹介します。
さかずき(杯・盃)
さかずきの歴史は古く、室町時代頃まで素焼きの土器(かわらけ)でお酒が飲まれていたと記録が残っています。
磁器の盃が登場したのはだいたい江戸時代中期。この頃から質が良くアルコール度数が高い日本酒が造られるようになったため少ない量でも酔えるようになり、盃の大きさは徐々に小型化していきました。
今では大きさも素材も多様化し、趣向を凝らした盃も見られるようになりました。平たい盃を使う場合は注ぐとき、飲むときにこぼれないように注意してくださいね。
徳利
徳利は日本古来の酒器のことで、ワインでいうデキャンタと同じ役割を持っています。
実はいうと徳利は、もともとお酒を盃へと繋ぐトランジット要員ではありませんでした。昔はお酒やお酢、醤油、穀類などを貯蔵するために徳利が使われていたと言われています。
大きさは現在あるかわいいサイズ感ではなく、一升から三升が入る大徳利が主流だったそうな。現在の大きさになったのは江戸時代中期ごろ。サイズが縮小化されたことでお燗として飲むスタイルが確立されました。
最近は、こじゃれたものや凝ったデザインのものも登場していますので、気に入った徳利で日本酒を味わってみては?
おちょこ
いつも徳利とセットで出てきますね。日本酒をゆっくり少しずつ味わうのにちょうどいい酒器で、飲みすぎ防止にも一役買っています。
名前の由来は諸説ありますが、飾り気がなくどストレートな様を表す「直(ちょく)」が「おちょこ」の語源となった説が有力です。
おちょこの底に描かれる二重線は「蛇の目」と呼ばれます。日本酒の色や濁り具合が見えやすいので、利き酒で用いられることが多いです。そのため蛇の目のおちょこは「利き猪口」とも言われ、全国新酒鑑評会をはじめとする日本酒の大会で活躍しています。
これから日本酒の勉強を計画している方は、蛇の目のおちょこをゲットしてみては?
ぐい呑み
ぐい呑みはお猪口よりも一回り大きいサイズの酒器です。お猪口とは兄弟のような関係で、ぐいぐい飲める大きさであることから「ぐい呑み」と呼ばれるようになった説があります。
ぐい呑みの起源は安土桃山時代まで遡ります。
当時は、酒の肴を盛り付けた器を酒器として使っていました。料理を楽しんだ後、空いた器に日本酒を入れて飲まれたことがぐい呑みの始まりだと言われています。
口が広く開いているので、日本酒の香りを楽しむには打ってつけの酒器です!吟醸酒や大吟醸酒におすすめです。
片口
注ぎ口がついている器のこと。徳利と同じくトランジット要員で用いられるため、直飲みすることはほとんどありません。片口は徳利と違い口が開いているので、注ぎやすく香りが立ちやすいという特徴があります。
縄文土器や弥生土器にも見られる形状で太古の昔から使われています。お酒を注ぐ以外にも小鉢やそばつゆ入れにも使われ、多くの場面で活躍する万能な容器です。
焼酎に使われる酒器3選!
お次は焼酎にピッタリの酒器をご紹介します。
黒ぢょか
焼酎造りが盛んな鹿児島県で発祥した伝統的な酒器。漢字だと「黒千代香」と書きます。
本場鹿児島では、地元で造られた芋焼酎を飲むときによく用いられます。土瓶を平べったくしたような形状で、直火でお酒をお燗にすることができます。
昔から黒ぢょかは、あらかじめ水で割っておいた焼酎を温めるために使われてきました。焼酎を入れた黒ぢょかを囲炉裏端に置いて、人肌になるまでゆっくり時間をかけて温めていたそうです。
現在は囲炉裏のある家庭は少ないですが、コンロや石油ストーブでも温めることは可能です。ただし黒ぢょかをコンロで温める時は火加減に注意!弱火であれば問題ないですが、強火で熱してしまうと割れることがあるので気をつけましょう。
カラカラ
沖縄特有の酒器。徳利と持ち手のない急須を足して2で割ったようなビジュアルをしています。主に泡盛を注ぐ用途で使われます。
「カラカラ」の名前の由来には、振るとカラカラ音が鳴るからという説と、方言の「かして」が「から」に聞こえるからという説があります。
陶器製が主流でしたが、最近はガラス製のものも見られるようになりました。個性的な形のものもあるので、カラカラを見ているだけでも楽しめますよ♪
琉球ガラス
沖縄の工芸品としておなじみの琉球ガラス。現地で泡盛を飲む時には必ずと言っていいほど登場します。グラスに含まれる泡が透明感と清涼感を演出しています。
沖縄でガラスづくりが行われるようになったのは明治時代とつい最近のこと。大阪や長崎から来たガラス職人によって吹きガラスの技術が伝えられたことが、琉球ガラスのはじまりとなりました。
沖縄でガラスが造られるようになった当初は、気泡が入ってしまったり厚みが均一でないものは不良品として扱われていました。
戦後になり、駐留していたアメリカ人に向けてグラスをつくったところ、気泡もゴツゴツ感もオリジナリティあるデザインとして受け入れられたのです。
以降、沖縄で生み出される吹きガラスは「琉球ガラス」として親しまれ、今ではお土産としての役割を持つようになりました!
まとめ
今回は酒器についてまとめました。日本酒・焼酎と分けてご紹介しましたが、日本酒の酒器で焼酎を、焼酎の酒器で日本酒を飲むことも可能です。
お気に入りの酒器をお持ちであればその酒器に合ったお酒を。また大好きなお酒があるならそのお酒と相性がいい酒器を選ぶのも良いですね。
お酒の世界を広げたいのであれば酒器にも注目ですよ!