酒にお酒を添加する!?酒精強化ワインとは?

皆さんは「酒精強化ワイン」というジャンルをご存知でしょうか?字面から察するに、なんとなく何かが強められて造られたワインなのはお分かりかと思いますが、具体的にどんなものなのかは全く想像がつきませんよね。

そこで今回は酒精強化ワインについてフォーカス。世界で造られる酒精強化ワインについて深掘りしていきたいと思います!

酒精強化ワインとは?

そもそも酒精強化ワインとは、ワインを発酵させる途中でブランデーなどのブドウを原料にした高アルコールのお酒(酒精)を添加して造られるワインのこと。「フォーティファイドワイン」とも呼ばれます。普通のワインのアルコール度数はだいたい10~15%ですが、酒精強化ワインの場合は18%前後と少し高めになります。

酒精強化ワインは甘口テイストになる傾向があります。これは発酵の途中でアルコールを添加した後に、酵母による糖の分解が行われなくなるためです。発酵の進み具合を見ながらアルコール添加することで、甘さの調節が可能となります。

酒精強化ワインが生まれた経緯

では、なぜわざわざアルコール度数を高める必要があるのでしょうか?それは造られる土地柄にヒントがありました!

酒精強化ワインは温暖なヨーロッパ南部で造られています。この地域では温度管理が難しく保存がきかないという難点があるため、ワイン造りをするのに向かない地域とされてきました。

そこで考え出されたのが酒精強化ワインです。アルコール度数を高めることで長期保存が可能となり、輸出用ワインとしての役割も持つようになりました。いわば酒精強化ワインは、地理的に不利な条件を克服するために生まれたワインなのです

3大酒精強化ワイン

酒精強化ワインの代表格として3種類のワインがあります。これらを総じて「3大酒精強化ワイン」と呼びますが、どんなものがあるのかひとつひとつ解剖して見ていきましょう。

シェリー酒

シェリー酒はスペインで造られるフォーティファイドワインのこと。スペイン南部にあるアンダルシア地方で造られたものだけがシェリー酒を名乗ることができます。シェリーの名前は原産地名の「シェリシュ」に由来しています。甘口から辛口まで幅広いテイストが醸されます。

温度を低くすると酸味が際立ち、甘みが抑えられる傾向にあります。また常温であれば酸味はおだやかになり、より甘みを感じられるようになります。

シェリー酒に使われるブドウ品種

シェリー酒に使われるブドウ品種は3品種しか認められていません。パロミノ、ペドロ・ヒメネス、モスカテルの3種類で、全て白ブドウ品種となります。

パロミノの糖度はそんなに高くないため、辛口用として使われることが多いです。ペドロ・ヒメネス、モスカテルは、どちらも甘口のシェリー酒を造ることができます。

マデイラワイン

ポルトガルのマデイラ島で生産される清酒強化ワインのこと。ワインの大敵である「酸化」という現象を味方に取ったワインです。ワインを加熱処理し意図的に酸化を促すことで、醤油のようなニュアンスを持ったワインとなります。

もともとマデイラワインは酒精強化ワインではありませんでした。まだマデイラ島がイギリスの統治下にあった時代、インドとイギリスの貿易の中継点として栄えていました。イギリスでは産地やブランドに関係なく幅広いワインが飲まれていたため、マデイラ島でもワイン造りが行われるようになったのです。

しかし18世紀後半には状況が一変。紛争によって航路が変わり、マデイラ島を経由することが無くなってしまったため、ワインの劣化が著しく見られるようになりました。

そこで現地のワイナリーはワインの一部を蒸留してアルコール度数を上げ、ワインに加えることで保存性を高めることを思いついたのです。

マデイラワインに使われるブドウ品種

マデイラワインに使われるブドウ品種は主に5つあります。

辛口ワインを得意とするセルシアル、中辛口のヴェルデーリョ、中甘口のボアル、甘口のマルヴァジア、辛口から甘口までオールラウンドで味を出せるティンタ・ネグラ・モーレがあります。

ポートワイン

ポートワインとはポルトガルで造られるワインのこと。「ポルトガルの宝石」とも言われています。アルコール度数が17~22%の範囲で、ドウロ地方で生産されたワインでなければポートワインを名乗ることができません。

ポートワインは使われるブドウの種類によってレッドポートとホワイトポートの2種類に大きく分けられます。レッドポートはさらにルビータイプとトゥニータイプに分けられ、ルビータイプが「ポルトガルの宝石」と認識されているタイプとなります。

ポートワインの定番と言われるルビータイプは熟成期間が短く、フレッシュな果実感や力強さを味わえるタイプとなっています。

トゥニータイプは10年単位で熟成されたポートワイン。長期熟成によってナッツやカラメルのような香ばしさと、こっくりとした甘さが感じられるようになります。ホワイトポートはアルコール度数16.5%が最低度数として認められています。ポートワインの中では比較的辛口が多く、食前酒として飲まれることが多いです。

ポートワインに使われるブドウ品種

ポートワインに使われるブドウ品種は、メインで使われる14品種と補助的に使われる15品種が存在しています。ティンタ・ロリスやティント・カン、トゥーリガ ナショナルなどが主要品種となっています。

まとめ

今回は酒精強化ワインについて深掘りしました。保存を利かせるため、苦肉の策で生み出されたジャンルだったとは意外でしたね。

これからワインについて深く知りたいビギナーの方は、酒精強化ワインもハズせない項目となります。日本でもネットなどで比較的リーズナブルに手に入りますが、普通のワインよりも度数が高いので、無理のない程度にゆっくり味わいながらフォーティファイドワインの世界に触れてみてくださいね。

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