樽熟成が味わいのカギ!ウイスキー樽の種類と特徴は?

※当メディアの記事で紹介している一部商品にはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトなどのアフィリエイトプログラムが含まれています。 アフィリエイト経由での購入の一部は当メディアの運営等に充てられます。

ウイスキーの造り手から、味わいの7割が熟成樽という意見があるくらい、ウイスキーの製造において大切なのが、熟成樽です。

かつてはウイスキーを入れる容器でしかなかった樽ですが、19世紀にワイン、シェリー、ラムなどの空き樽にウイスキーを入れておくことで、ウイスキーに樽由来の味わいが移ることが判明した以後は、どんな樽に貯蔵するかが、ウイスキー造りにおいてキーポイントになりました。

今回は、そんなウイスキーの樽熟成について、樽の種類と特徴をそれぞれご紹介します。

関連記事:【飲みやすい】おすすめ銘柄を10個厳選!

なぜ樽熟成されるようになった⁉樽熟成の歴史

樽熟成が味わいのカギ!ウイスキー樽の種類と特徴は? イメージ画像1

はじめに、樽熟成が行われるようになった歴史を紹介します。

研究し尽くされた結晶とは真逆に、実はウイスキーの樽熟成は偶然の産物によるものだったこと知っていますか?

元々13世紀まで、スコットランドとアイルランドは、ウイスキーを熟成させずに飲まれていました。17世紀に入ると、イングランド王国とスコットランド王国が合併することになり、税収を増やそうとしたイングランドがお酒に高い税金をかけたのです。

税金を逃れるため、人々は山奥でウイスキーを樽に隠して製造を行うようになります。

しかしラッキーなことに、うっかり熟成されたウイスキーは、透明な液体から綺麗な琥珀色へ。味わいも、より深みが出るようになったことに気づきました。こうして、ウイスキーは樽熟成と貯蔵が行われるようになったのだとか。

スコッチウイスキーについて詳しく

ウイスキーの熟成に使われる、主な樽材

樽熟成が味わいのカギ!ウイスキー樽の種類と特徴は?イメージ画像2

つぎに、ウイスキーの熟成に使用される樽の種類について解説します。

アメリカンホワイトオーク

ワインやシェリーなど、多くの酒類の熟成に幅広く使われているのが、アメリカンオーク樽です。

バーボンを筆頭に、アメリカで製造される多くのウイスキーは、アメリカンオークの新樽に貯蔵することが法律で定められている(コーンウイスキー、ライトウイスキーなど一部は古樽で貯蔵も可)こともあり、5大ウイスキーの熟成にも最も多く利用されています。

産地はケンタッキー州、ミズーリ州が中心で、樹齢約80年~100年程度のものが使われます。タンニンが少なく、バニラ香のバニリンや、ウイスキーの香り成分ウイスキーラクトン(オークラクトン)がとても多く、短期間で樽成分が液体に移りやすいのが特徴です。バーボンの貯蔵樽は、樽の内側を強火で炭化させるチャーリングを行います。

フレンチオーク、スパニッシュオーク(セシルオーク)

フランスの高級ワインやコニャックの熟成に使われることが多いフレンチオークと、コニャックやブランデー、ワインの熟成に使われているスパニッシュオークです。

樹齢は約120年~200年程度のものを使用。ウイスキーラクトンが多めなのをはじめ、ポルフェノール、タンニンなど、様々な香味成分が含まれています。ワインなどの熟成樽は、樽の内側を弱火でゆっくりと加熱して焦がすトースティングを行います。

コモンオーク(リムーザンオーク)

ワインやブランデー、コニャックの貯蔵に使われてきたリムーザンオーク。樹齢は約200年~260年のものを使用。バニリンやウイスキーラクトンが少なく、タンニンやポルフェノール類が豊富な樽です。

ミズナラ(ジャパニーズオーク)

水分を吸収しやすく、漏れやすい性質のため樽材には本来不向きですが、戦後、海外から樽の調達が難しくなり、苦肉の策で山崎蒸溜所にてウイスキーの貯蔵に使われるようになったのがミズナラ樽です。

北海道や東北が主な産地で、樹齢200年~250年のものを使用。白檀(びゃくだん)や伽羅(きゃら)とも評されるオリエンタルな香りは、近年は世界でも人気で、「シーバスリーガル ミズナラ12年」のように、海外でもミズナラ樽熟成の試みは始まっています。

ミズナラ樽熟成のウイスキーは、シングルカスクでは主張が乏しいため、「山崎」のように、シェリー樽やバーボン樽原酒のアクセントとして用いられることで、真価を発揮する樽とも言えそうです。

その他

チェリーウッド(桜)や、カエデ、ヒノキ、アカシアなどが用いられることもありますが、多くの場合は、シングルカスク(単一の樽)ではなく、他の樽で熟成された原酒とヴァッティングやブレンドされて使用されます。

ウイスキー熟成に使われる、主な樽のサイズ

樽熟成が味わいのカギ!ウイスキー樽の種類と特徴は?イメージ画像3

バレル…容量約180l(リットル)

ウイスキーの貯蔵に最も多く使用。新樽は、バーボンなどのアメリカンウイスキーやカナディアンウイスキーの熟成に使われます。

ホッグスヘッド…容量約230l(リットル)

バレルを一度解体して、容量を増やすために大きい鏡板を貼った樽。

バット…容量約480l(リットル)

シェリーを熟成させた樽(香りづけのシーズニング含む)をウイスキーの貯蔵に転用、いわゆるシェリーバット。

パンチョン…容量約480l(リットル)

容量はバットほぼ同容量ですが、丈があり、横幅が短いずんぐりした形が特徴です。

クォーターカスク…容量約50l(リットル)

樽材は主にアメリカンホワイトオーク。「ラフロイグクォーターカスク」のように、短期間のウッドフィニッシュに使われます。かつてはプライベートカスクとして個人やバーなどに販売されていたのもこのサイズが中心です。

近年はウイスキーの本場、スコットランドでも法改正により熟成に使える樽の種類が増えたことで、日本のニッカウヰスキーが親会社であるトマーティン蒸溜所で造られているヘビーピーテッドな「クボカン」のクリエーションシリーズでは、「ブラックアイルブリュワリー・インペリアルスタウト」のビール樽や、焼酎樽で熟成した原酒をブレンドしています。

関連記事:ウイスキーを樽買い?究極の大人の楽しみ方

ウイスキー貯蔵に使われる樽は何回まで貯蔵可能?

樽熟成が味わいのカギ!ウイスキー樽の種類と特徴は?イメージ画像4

アメリカンウイスキーは、コーンウイスキーなどを除くほとんどが新樽で熟成されます。バーボンなどアメリカンウイスキーやシェリー、ワインなどを熟成させた樽に、初めてウイスキーを貯蔵したものをファーストフィルといい、2回目以降に詰めたものをリフィルと称しています。

当然、樽の香味成分が最も強く抽出されるのがファーストフィルで、セカンド、サードと、貯蔵を繰り返すごとに、ウイスキーに移る香味成分は少なくなっていきます。

自宅でも樽熟成が可能⁉

ウイスキーの樽熟成が気になった方には、気軽に樽の風味を試せる便利な商品を紹介します。

こちらの商品は「タルフレーバー」といって、ウイスキーに樽の香りをつけてくれる優れものです。

樽熟成にも使用されるオークからカットされた木片で、風味は、アメリカンホワイトオーク・ミズナラ・やまざくら・くりの4つがあります。

グラスや瓶内に付けておくだけで、香りが移ります。熟成時間は、お好みで可能。10分程度で漬けておけば、色がほんのり付き始めます。一か月ほど漬けると、しっかりと風味が移るそうです。

樽の香りによる味わいの変化を実際に楽しんでみたい方はぜひチェックしてみてください。

また実際試した記事は、こちら。
究極のお酒アレンジ、フレーバースティック(タルフレーバー)を試してみた。

まとめ

いかがだったでしょうか。冒頭でも説明したように、ウイスキーは樽の種類によって大きく味わいを変化させる奥深いお酒です。

まずは、様々な樽の香りや特徴を飲んで試してみるのが良いでしょう。

■この記事を読んだ方におすすめの記事
【タイプ別】お酒マニアが選ぶ3,000円前後のウイスキーおすすめ10選 【タイプ別】お酒マニアが選ぶ3,000円前後のウイスキーおすすめ10選
一度飲んだら忘れられない!?クセの強いウイスキーおすすめ8選 一度飲んだら忘れられない!?クセの強いウイスキーおすすめ8選!!
【初心者向け】飲みやすいウイスキーの選び方とおすすめ銘柄を10個厳選 【初心者向け】飲みやすいウイスキーの選び方とおすすめ銘柄を10個厳選!