ワインの酸化防止剤ってどんなもの?知っておきたい基礎知識

ワインを飲む方であれば、裏ラベルに「酸化防止剤」が表記されていることに気付く方は多いと思います。筆者が今まで見てきたワインのほとんどに「酸化防止剤」の文字がありました。

しかし…「剤」という字がついているからか、体内に摂取して良いものという印象が全く持てないでいます…。飲んでも大丈夫なのでしょうか?

今回は、不安視されがちな「酸化防止剤」の役割や人体への影響をまとめてみました。

酸化防止剤とは

酸化防止剤とは文字通り食品の酸化を防ぐ添加物のこと。ビタミンC(L-アスコルビン酸)やカテキンといった成分が酸化防止剤として多くの加工品に使用されています。

ワインに使われている酸化防止剤の正体は「亜硫酸」と言われる物質です。

亜硫酸が酸化防止剤としての役割を持つようになった歴史は古く、古代エジプトやローマ期にはすでにワイン造りに使われていたと言われています。

亜硫酸は造り出されるほとんどのワインに含まれていて、品質の保持に一役買っているのです。

酸化防止剤の役割

酸化防止剤には大きく二つの役割があります。

役割その① 劣化防止

亜硫酸には、食品に含まれる他のどの成分よりも早く酸素と結合するという特徴を持っています。酸化防止剤自体が酸化することで食品そのものの酸化、劣化を防ぐ効果があります。

亜硫酸は、ワインが酸化することによって生成される有害物質アセトアルデヒドとも結合するので、酸化した状態からの回復効果も見込めます。

役割その② 殺菌効果

亜硫酸が古くから使われてきた理由のひとつに殺菌作用が挙げられます。醸造に使われる器具の殺菌だけではなく、悪玉菌や雑菌の繁殖を防ぐ用途にも利用されています。ワインにとって亜硫酸は「百薬の長」ともいうべき存在で、ワイン醸造において不可欠な物質なのです。

しかし亜硫酸には脱色作用もあります。大量添加してしまうとワインの色が薄くなったり、果実味が感じられなくなったりというデメリットも発生します。ワインに添加する亜硫酸の量をいかに減らせるかは、ワイン醸造家の腕に委ねられています。

添加するタイミング

酸化防止剤は、ワインを醸造するプロセスの中でも酸素に触れやすい工程で添加されることが多いです。品種ごとに違うワインをブレンドさせる「アッサンブラージュ」や、ワインを樽熟成させるとき、瓶詰めの際など、とにかく酸素の影響を受けやすい時に添加されます。

最近は、ブドウを収穫するタイミングで酸化防止剤を添加するケースが増えてきているそうです。今まで外気に触れなかった部分が空気にさらされた瞬間、ブドウの劣化は始まります。果実に傷がついたり実が破けてしまっても、収穫時に酸化防止剤を加えればある程度劣化を防ぐことができるのです。

人体への影響

近年、まことしやかにささやかれている酸化防止剤の害として一番有名なのが頭痛です。

亜硫酸の大量摂取は人体に害を及ぼします。しかし、ワインに含まれている亜硫酸の濃度は他の食品と比べても低く、人体への影響はほとんどないとされています。

ただしアレルギーや喘息を持っている方は注意!低濃度とはいえ発作を引き起こしてしまう可能性があるので、ワインの摂取は控えた方が良さそうです。

頭痛の直接的な原因となっているのは「アミン」という成分です。「アミン」にはたくさんの種類がありますが、「ヒスタミン」と「チラミン」という物質が赤ワインには多く含まれています。

「ヒスタミン」は脳の血管を広げる作用があり、「チラミン」には脳の血管を収縮させる作用があります。赤ワインを飲んだ時だけ頭痛がするのは「アミン」が影響している可能性が高いでしょう。

亜硫酸含有ゼロのワイン

いくら害が無いとはいえ、やはり亜硫酸を含まないワインが一番無難だと考える方もいらっしゃると思います。

しかし、そんなワインはこの世には存在しません。なぜならアルコールが発酵する過程で、少なくとも10mg/1L前後の亜硫酸が自然に生成されるからです。どんな高級なワインにも亜硫酸は含まれているのです。

亜硫酸を表示する義務は10mg/1Lからなので、ほぼすべてのワインに亜硫酸または酸化防止剤が表記されています。

酸化防止剤無添加のワイン

亜硫酸ゼロのワインは存在しませんが、酸化防止剤を添加していないワインなら存在していますよ。

無添加ワイン

最近は「酸化防止剤無添加ワイン」を謳う商品が出回っています。国産で低価格、しかも常温保存も可能なワインが大量生産されているのです!こういったワインは、加熱殺菌処理したり特別な酵母を使うなどをして造り出されています。

上記のプロセスを踏むことで亜硫酸の含有量は10mg/1L以下となり、「亜硫酸」の表記義務は無くなります。しかし、品質や味わいが保たれるかどうかという点ではいまだ疑問符が残るため、一概に酸化防止剤無添加のワインが良いとは言い切れないのも実状です。

オーガニックワイン

オーガニックワイン全てが酸化防止剤無添加というわけではありませんが、添加されていないものも存在します。有機栽培の認証を受けたブドウでワインが造られています。

オーガニック認証を受けることに重きを置いている醸造所はけっこう存在しています。酸化防止剤を添加しないために悪玉菌や雑菌が繁殖してしまい、品質が低いワインが出回っているのも事実です。

おわりに

今回はワインに含まれている酸化防止剤についてまとめました。

亜硫酸は大役を担っていたんですね…。安全で美味しいワインを実現させるには酸化防止剤は必要不可欠なようです。ぜひみなさんも添加物だからと毛嫌いせずに、いろいろなワインに挑戦して頂けたらと思います。

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