地域特性を体現する「駒ヶ岳」特徴や商品などを紹介

日本国内で造られるウイスキーの中には、造られる地域がブランド名となっていることがあります。

白州、富士御殿場、知多、余市などが大手メーカーで製造されていますが、今回フォーカスするのは駒ヶ岳です。

信州で生み出されるウイスキー・駒ヶ岳の商品をいくつかピックアップしながら、製造元の歴史や蒸溜所に対するこだわりを深掘りしていきます。

駒ヶ岳ウイスキーとは?

駒ヶ岳は長野県上伊那郡で造られるウイスキー銘柄で、駒ヶ岳山麓の宮田村にある蒸溜所にて製造が行われています。

マルス信州蒸溜所内で製造された原酒のみをブレンドして造られるシングルモルトであるため、毎年ボトリングされる本数に限りがあります。

人気のあるラインアップは発売後すぐに売り切れてしまう傾向にありますが、生産ロットが多いものであれば通販でも手に入れることができます。

駒ヶ岳の製造元

ウイスキー・駒ヶ岳を製造するのは本坊酒造です。1872年に創業した酒造会社で、創業当初は製綿業を営んでいました。明治時代後期には、薩摩の特産品・サツマイモを原料にした焼酎が造られるようになりました。

第二次世界大戦後にはウイスキー、梅酒、スピリッツ、ワインの製造免許を次々と取得し、現在製造するお酒の種類は多岐にわたります。

本坊酒造は鹿児島県に本社を構えていますが、駒ヶ岳麓にあるマルス信州蒸溜所にて駒ヶ岳の蒸留が行われています。鹿児島と中央アルプスに蒸留所を持ち、山梨県内には山梨ワイナリーと穂坂ワイナリーの2つのワイナリーを所有しています。

世界規模の酒類コンペティションでは、焼酎、ワイン、ウイスキーが輝かしい賞を受賞したこともあり、広いジャンルで高い評価を受けているメーカーです。

駒ヶ岳が造られる場所

1985年から駒ヶ岳にてウイスキー蒸留が行われるようになりましたが、そもそもウイスキーを造る場所になぜ駒ヶ岳をチョイスしたのでしょうか?

そのヒントは、中央アルプスの特徴的な気候にありました。

ウイスキーに理想的な環境とは

寒冷な気候で、程よく潤いがあり、なおかつ良質な軟水が流れている場所がウイスキー造りに適した環境と言われています。

日本国内で上記の条件を満たす場所はそう多くは存在しませんが、中央アルプスにある駒ヶ岳山麓はウイスキー造りの条件がそろった数少ないエリアのひとつです。

駒ヶ岳の環境

マルス信州蒸溜所がある駒ヶ岳山麓の宮田村は、冬になるとマイナス15℃を下回る日もありますが、霧が発生しやすい地域なので適度な湿度を保つことができます。
また山の雪解け水が花崗岩層を抜けてろ過されるため、ウイスキー造りに打ってつけな軟水の状態となって湧き出てきます。

いわば駒ヶ岳は「ジャパニーズウイスキーの理想郷」ということになりますね。

駒ヶ岳を寝かせる熟成庫

本坊酒造では信州蒸溜所以外に、鹿児島の津貫蒸溜所、屋久島の熟成庫でも駒ヶ岳を熟成しています。

先ほどウイスキーに理想的な環境条件をお伝えしましたが、地域特性を生かしたウイスキーにするために、気候も環境も全く異なるところで原酒の熟成が行われるようになりました!

実はこのプロジェクト、「同じ原酒を環境の異なる3つの熟成庫で寝かせたらどのような違いが出るのか、実際に試して違いを見てみたい」という社長のアイデアがきっかけで始められました。

ウイスキー造りの理想郷にて生み出された原酒を、温度差の激しい津貫と年中高温多湿な屋久島で熟成させてみようという大胆な試みです。実際に熟成させてみると、アルコールと水分が蒸発する自然現象「天使の分け前」に大きな差が出ました。

信州で熟成させたウイスキーの蒸発量は年間で全体の2~3%であるのに対し、鹿児島では6%、屋久島では8%も蒸発します。同じ場所で蒸留された原酒でも、温度や湿度が異なれば熟成速度も変わり、味わいにも多様性が生まれるというわけですね。

駒ヶ岳のラインアップ

現在、駒ヶ岳シリーズのほとんどが生産終了していますが、まだネット通販でゲットできる商品もあります。購入を考えている方はネットをチェックしてみましょう!

駒ヶ岳 リミテッドエディション 2020

15,000本のみボトリングされた2020年の限定品。シェリー樽とホワイトオーク樽で熟成させたモルト原酒をベースにブレンドされたシングルモルトで、熟したプラム、はちみつ、バニラを思わせる上品な香りが特徴的な一本です。

柑橘系のフルーティーさとカカオのようなビターさが後を引きます。ストレート、ロック、水割りで飲むのがおすすめです。

シングルモルト駒ヶ岳 屋久島エージング Bottled in 2021

5208本限定でリリースされた限定品。中央アルプスにある信州蒸溜所で蒸留された原酒を、900㎞以上離れた洋上のアルプス・屋久島で熟成されて造られた一本です。バーボン樽で3~5年じっくりと寝かせた原酒がベースとなっています。

バニラ香、果実香とともにピート由来のスモーキーさも持つ商品で、屋久島の気候でしか生み出せない独特の風味を味わえます。

まとめ

今回は駒ヶ岳をご紹介しました。日本国内でも、あえて温暖な地域を選んでウイスキーの熟成を行っているとは意外な発見でした!

今までの常識を覆すように造られた「屋久島エージングシリーズ」は、今後の動向に注目したいジャパニーズウイスキーです。