日本三大酒どころ「兵庫・灘」「京都・伏見」「広島・西条」の魅力やおすすめの酒蔵を紹介

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みなさんは「日本三大酒処(さけどころ)」をご存知ですか?

日本にはさまざまな「日本三大〇〇」がありますが、日本酒にも三大酒処があります。

今回は日本三大酒処の「灘」「伏見」「西条」の歴史や特徴について解説をしていきます。日本酒好きな人や日本酒の歴史に興味がある人は参考にしてみてください。

日本三大酒どころの「灘」「伏見」「西条」の魅力とは?

それでは日本三大酒処の「灘」「伏見」「西条」についてそれぞれ解説をしていきます。

酒どころ京都府「伏見」の歴史や特徴

日本三大酒処「灘」「伏見」「西条」の魅力や特徴を解説 イメージ画像1

京都府にある伏見は、「日本名水百選」にも選ばれた名水「御香水」が湧き出し、昔から日本酒を造るのに適した土地として栄えてきました。「御香水」はミネラルやカリウム、カルシウムをバランス良くを含んだ中硬水で、きめ細やかな口当たりが特徴。「伏見の女酒」とも呼ばれ、新酒は甘口に仕上がります

伏見で有名な酒蔵は、「黄桜」「月桂冠」「宝酒造」など。テレビCMなどで聞いたことがある名前ですよね。

また伏見は日本酒造りの歴史も古く、1594年、豊臣秀吉の築いた伏見城が建設されたところから始まりました。城の周辺に城下町が構築され、人口は数万人に達します。その後、1635年に参勤交代が実施され、伏見の街に旅人や物資が集まるようになり、日本酒の消費量が増加。良質な水が湧き出ていることもあり、日本酒産業が大きく発展しました。

現在は日本を代表する酒処として、海外の観光客からも人気です。

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酒どころ兵庫県「灘」(灘五郷)の歴史や特徴

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兵庫県の灘は山田錦の生産量が全国1位。名水百選にも選ばれた六甲山からの「宮水」も湧き出る、日本酒造りに適した土地です。「宮水」はミネラルを多く含んだ硬水で、キリッとした辛口の日本酒が造られます。荒々しい口当たりになることから「灘の男酒」とも呼ばれています。

有名な酒蔵でいうと「白鶴」や「菊正宗」などがあり、日本酒好きでなくとも、一度は聞いたことがある名前ですよね。

また灘の日本酒造りの歴史は古く、1330年頃から醸造が行われていたという文献も残っています。室町時代に入ると、灘を中心とした地域の日本酒が高く評価されるようになりました。この頃に創業した酒蔵のいくつかは、今でも現存しています。

また灘が酒処として発展した理由は、良質な米や水だけではありません。日本酒を消費する江戸へは馬での陸上輸送が一般的でしたが、灘は港が近く、海上輸送で江戸へ日本酒を届けられたのです。

しだいに海上輸送の技術も発展し、安定感がありスピードも出る樽廻船(たるかいせん)なども登場。こういった理由から、灘の酒が日本中に知れ渡り、現在の日本三大酒処として、地位を確立したのです。

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酒どころ広島県「西条」の歴史や特徴

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広島県の西条は、日本酒に向かない軟水が湧き出る地域です。酒造りに適していない土地柄もあり、日本酒産業は難しいとされていました。しかし、明治時代に三浦仙三郎氏が軟水での醸造方法を確立し、日本酒造りが盛んになります。明治以降は日本酒産業が急激に発展し、現在の日本三大酒処の地位を確立しました。

また先進的な技術を生み出した西条には、日本で唯一の「酒類総合研究所」があります。酒類に関する研究や講習、技術の普及、鑑評会などの業務が行われており、日本酒産業の発展に貢献しています

西条の日本酒は、スッキリと辛口なのが特徴で、硬水とは一味違った味わいが楽しめます。

有名な酒蔵で言えば「賀茂鶴酒造」「賀茂泉酒造」で、「賀茂鶴酒造」の「大吟醸 特製ゴールド賀茂鶴」は、あのオバマ大統領が飲んだことでも有名です。オバマ大統領が飲んだシーンがテレビで放映されると、日本全国から問い合わせが殺到し、賀茂鶴の知名度は一気に全国区となりました。

また日本酒造りの歴史を紐解くと、酒造りは江戸時代の終わりから始まります。最初は灘の醸造方法を取り入れましたが、水の性質が異なっていたため、美味しい日本酒は造れませんでした。

そこで先ほどの三浦仙三郎氏が、水質の違いに気づき、軟水での醸造方法を編み出したのです。この醸造方法は「吟醸造り」と呼ばれ、現在は日本全国で使われる技術となりました。その後、明治中期になると西条の中心に鉄道ができ、酒蔵が立ち並ぶようになります。大正時代に入ると、「酒都西条」と呼ばれるようになり、灘や伏見と並ぶ一大銘醸地としてブランドを確立しました。

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日本三大酒どころ「灘」「伏見」「西条」おすすめの酒蔵と銘柄

それでは三大酒処のおすすめ酒蔵と銘柄を厳選して紹介します。

「伏見」のおすすめの酒蔵と銘柄

まずは「伏見」のおすすめの酒造と銘柄を3つ紹介します。

黄桜(黄桜株式会社)

黄桜(きざくら)は、京都府京都市伏見区に拠点を置く、大手日本酒製造メーカーです。大正14年に松本治六郎氏によって創業。テレビCMなども放映されており、名前を聞いたことがある人も多いと思います。

黄桜では伝統的な製法を受け継ぎ、品質の高い日本酒造りを行なっています。黄桜は日本酒の甘みと優しい口当たりが特徴で、日本酒が苦手な人でも飲みやすいです。

また伝統の技術と美味しい水を活かして、1995年からは地ビールの製造も行なっています。日本酒だけでなく、ビールも楽しめるなんて驚きですよね。

伏見を訪れた際は、黄桜の日本酒とビールを楽しんでみてください。

 

花洛 (招德酒造株式会社)

花洛は生保2年に創業した歴史のある酒造メーカーです。洛中において木村家が酒造業を興したのが始まりであり、昭和18年に伏見にある4つの造酒場が合同して設立されました。

花洛は「純米酒こそは清酒本来の姿」と考えており、純米酒にこだわった酒造りを行っています。純米酒は醸造アルコールを使用していないので、米本来の旨味やコクを味わえるでしょう。また造酒に取り組む一方で、純米酒の普及にも取り組んでいます。

花洛では京都の食と文化の伝統に育てられた、米の美味しさはもちろん自然な酸味も味わえるお酒を提供します。純米酒が好きな人や飲んだことはなくても興味のある人は、ぜひ一度口に運んでみてはいかがでしょうか。

 

英勲 (齊藤酒造株式会社)

英勲は明治28年に創業された酒造メーカーであり、昭和平成と時が流れても丁寧にブランドを育て上げてきました。現在は日本全国だけでなく、海外へも酒造を送り出して高い評価を獲得しています。

全国新酒鑑賞会では14年連続で金賞を受賞しています。全国の舞台で十数年に渡ってトップを走ってきただけのことはあり、高い醸造技術を持っているといえるでしょう。

世界にも通用するお酒はサラリとした触りで、口全体に広がっていきます。喉越しもスッキリしているので、あっさりしたお酒が好きな人におすすめです。

 

「灘」のおすすめの酒蔵と銘柄

続いて「灘」のおすすめ酒造と銘柄について3つ紹介します。

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白鶴(白鶴酒造株式会社)

白鶴は日本を代表する日本酒製造メーカーです。日本酒を知らない人でも聞いたことがある有名ブランドだと思います。1743年に創業し、数々の銘酒を生み出してきました。歴史ある酒蔵ですが、伝統と最新の技術を融合し、未来を見据えた経営を行なっています。

現在は日本酒を広めるために東京でセミナーを開催したり、銀座のビルの屋上で米の栽培を行なったりと、新しい挑戦を続けています。

■上撰 白鶴

白鶴のおすすめ銘柄は「上撰 白鶴」で、「International Taste Institute」4年連続最高位の三ツ星獲得、「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2019」SAKE部門 普通酒カテゴリー シルバーメダル受賞という輝かしい成績を納めています。きめ細やかな口当たりと米の旨味が特徴で、冷やから燗まで楽しめるでしょう。

灘を訪れた際は、白鶴の日本酒を楽しんでみてください。

 

菊正宗 (菊正宗酒造株式会社)

菊正宗の始まりは、嘉納家が神戸にある御影で酒造業を開始した万治2年です。明治19年には現在の名である「菊正宗」として商標登録され、1945年には昭和天皇本社へ行幸した伝統と実績のある酒造メーカーです。

納家8代目である秋香翁が西洋の学問を身につけた技術者を呼び、最先端の技術で改善を行なった結果近代醸造の礎となりました。

過去には「売りたい酒」「品質のよい酒」として名を馳せたメーカーであり、その特徴は今も健在。コッテリとした飲み口で、切れ味抜群の味わいを楽しめます。

樽酒の香りが長く続くので、味だけでなく匂いも楽しみたい人はぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

 

福寿 (株式会社 神戸酒心館)

宝暦元年に創業した福寿は、手造りにこだわった酒造メーカーです。良質な原料・蔵人の感性・膨大な時間と手間をかけることを惜しまず、13代に渡り名前を守り続けてきました。

時代は効率化を謳われていますが、効率やスピードは意識して造酒しません。伝統と丁寧な酒造りを未来へ引き継いでいくという熱い想いに溢れたメーカーです。

現在は酒造以外にも豊富な事業に取り組みつつ、食・地域文化に貢献しています。環境配慮への取り組みも活発であり、GREEN AWARDS 2020では「Water Management Award」を受賞しました。日本酒の蔵元としては初めての受賞であり、注目を集めています。

 

「西条」のおすすめの酒蔵と銘柄

最後は「西条」のおすすめ酒造と銘柄を紹介します。

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賀茂鶴(賀茂鶴酒造株式会社)

賀茂鶴は西条を牽引する存在の酒蔵で、オバマ大統領が絶賛した賀茂鶴特選ゴールドを生み出す有名ブランドです。1873年の創業以来、先進的な技術を用いて、日本酒造りを行なってきました。大吟醸の先駆けとも言われる酒蔵で、鑑評会では数々の賞を受賞。

龍王山の伏流水で仕込まれる賀茂鶴の酒は、芳醇で濃厚な味わいが特徴です。一躍有名になった賀茂鶴特選ゴールドは、優しい口当たりで「女酒」とも呼ばれています。

西条を訪れた際は、オバマ大統領と同じ賀茂鶴特選ゴールドを味わってみてはいかがでしょうか。

 

福美人(福美人酒造株式会社)

明治時代より日本酒が盛んに製造されてきた西条の地で、大正6年より酒造を続けてきたのが福美人。酒造りの技術力は全国に認められており「西條造酒学校」とも呼ばれていました。

全国から人を集めるだけの技術力は今もまだ衰えておらず、平成に入ってから「全国新酒鑑賞会金賞」を7度も獲得しています。今もなお高い技術によって生産が盛んに行われているので、訪れてみる価値は存分にあるといえるでしょう。

おすすめの銘柄は味吟醸。職人がとことんこだわって造酒されており、飽きのこない味なので、何度でも飲めるでしょう。

 

亀齢酒造(亀齢酒造株式会社)

亀齢酒造は、明治元年に吉田屋という屋号で創業しました。当初は心を込めて造られるお酒が「吉田屋の酒」として地元民に愛されていました。時が経つにつれて「亀は千年、亀は万年」という言葉にあやかり「亀齢」として現代に至ります。

西条のお酒は地元に湧き出る軟水を活かしたやわらかく甘い口触りが特徴ですが、亀齢は辛口です。西条で辛いお酒が飲める数少ない酒造なので、辛口が好きな人からすると貴重でしょう。

亀齢のおすすめ銘柄は「亀齢 純米酒」です。「第70回全国ろうあ大会inひろしま」の開催を記念して製造されたお酒であり、広島のシンボルマークがあるので地元愛を感じられます。

 

【番外編】SAKEMania おすすめ!日本の酒どころ3選

ここでは番外編として、酒マニアにおすすめな日本の酒どころを3箇所ご紹介します

おすすめ酒どころ①新潟県

新潟県は1000年以上も前から酒造りが行われている、伝統と実績のある都市です。

新潟県の水は美味しくきれいであり、その水とお米から作られるお酒は日本トップクラスの味。加えて、夏場の日照時間が長いため上質なお米が取れて、日本酒生産量も日本トップクラス。

味は淡麗であるのが特徴ですが、少し辛めであったり甘かったりと豊富な種類が揃っています。

県内にある長岡市は全国2番目の酒造数を誇っており、16箇所の酒造場所があります。伝統を後世に引き継ぐために「長岡市で日本酒で乾杯を推進する条例」という条例まで定められたほどです。

長岡市の飲食店では地元で作られた日本酒を手軽に楽しめるため、訪れた際には味わってみてください。

おすすめ酒どころ②秋田県

秋田県は東北地方を代表する酒どころとして、その名を馳せています。日本酒の消費量は新潟県に次ぐ2位であり、多くの県民に愛されていることが見て取れます。

酒造り自体は、江戸時代と近年から本格化されました。秋田県で銀が発見されたことによって多くの客が訪れたことがきっかけで、甘い味わいを楽しめる日本酒が作られるようになりました。

東北にあるだけあって低温かつ適度な湿度によって熟成されているので、クセがなくふくよかな味わいを楽しめるでしょう。

有名な銘柄は「新政」であり、全国でも上位に食い込む技術力と哲学を持つ、新政酒造で作られています。新政酒造で作られる日本酒は全て純米酒なので、米本来の味わいを楽しめるでしょう。

関連記事:日本酒界のアイドル「新政」とは?人気の秘密とおすすめ商品を紹介

おすすめ酒どころ③山形県

山形県には日本トップに食い込むような蔵元はありませんが、県民全体が日本酒の産地として盛り上げていこうという団結力があります。酒造責任者は地元の技術者が務め、互いに切磋琢磨し合いながら日本酒の味を引き継いできています。

他県に例がない蔵元・農業関係者・行政が一体となってオリジナルの酒米を作り「出羽燦々」は平成25年には全国4位の座を掴みました。

全国の舞台に上がってきた山形県ですが、地元への愛を忘れてはいません。高額なお酒にも取り組みますが、手頃な価格で地元民に愛される酒造を心がけています。

おすすめなのは、約400年の伝統と実績のある高木酒造の代表銘柄である「十四代」。一口目でうまいと感じられるフルーティな味わいが魅力であり、なかなか手に入らない貴重な銘柄です。見かけた時には、ぜひ購入を検討してみてくださいね。

まとめ

今回は日本三大酒処「灘」「伏見」「西条」の魅力や特徴を解説してきました。土地ならではの背景を知ると、日本酒に興味が湧いてきますね。

その土地ごとで、味わいや香りも違うので、「灘」「伏見」「西条」の日本酒を飲み比べても面白いかもしれません。

また実際に訪れた際は、その土地の美味しい料理と日本酒を楽しんでみてください。

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